隠れたリスクとコストが、ビジネスの成長を阻む
多くの中小企業において人事・労務業務は複雑・煩雑で、そこには様々な非効率が潜んでいる。勤怠管理や給与計算、社会保険関連などの業務はIT化されていない場合が多く、担当者の属人的なスキルに頼っているケースも少なくない。
そのために頻発するのが人的なミス。特に給与関連での計算ミスは、会社へのロイヤルティにも影響を及ぼし、社員のモチベーションを下げてしまいかねない。また、経営者にとって、月末や期末に生産性の低い間接業務に追われてコア業務への取り組みが後回しになってしまうと、ビジネス成長の阻害要因になることもある。経営者にとって顧客の声を聞く時間、戦略を考える時間がなくなれば、中長期的な成長は期待できない。これらの課題は隠れたリスクでありコストである。
中小企業でも100人、200人の規模になると、ITベンダーに人事・労務関連のシステム構築・運用を任せているケースもある。ただ、その実態は「丸投げ」に近く、自社のグリップがほとんど効いてないことが多い。少しずつでも社内にITの知識を蓄積しなければ、デジタル活用やDXは期待できない。
こうした人事・労務の課題を解消する上で、クラウド活用は有効なアプローチだ。コンプライアンス違反に問われかねない独自ルールを世の中の標準に合わせるとともにシンプル化し、業務の効率を大きく向上させることができる。ITとデータを自らコントロールすることは、将来のDXに向けた布石にもなる。
中小企業のIT化支援で豊富な経験を持つコンサルティング企業TECO Design社長の杉野 愼氏の話を基に、これからの時代に求められる中小企業の人事・労務、クラウド活用の在り方について考えてみたい。