そのCO2排出量の計測方法は果たして正確か

 気候変動の原因となる地球温暖化への対策が過去にないほど切実な課題となっている。2015年に採択されたパリ協定を受けて、日本もCO2をはじめとする温室効果ガス(GHG)の国内での排出を2050年までに「実質ゼロ」にするという、いわゆる「2050年カーボンニュートラル宣言」を行った。

 この宣言のもと、あらゆる企業が事業構造を抜本的に見直し、排出削減と成長を両立させる方法を模索している。特にエネルギー産業や石油、化学、金属、鉄鋼、セメント、パルプなど、製造工程で多くのCO2を排出する企業にとってCO2排出量の削減と成長の両立は、存続にかかわるミッション。工場やオフィスの省エネ、地球環境にやさしい製品の開発はもちろん、水素燃料に関する研究、LNGやバイオディーゼルなどクリーンな代替燃料および洋上風力発電や太陽光発電などの自然エネルギーの積極活用、アンモニアなど次世代燃料の導入など、高度かつ幅広い取り組みを進めている。

 しかし、あらゆる取り組みに共通する課題がある。CO2削減に向けた施策の効果を、どのように適正かつ定量的に把握するかである。特に複雑な化学反応などを駆使する製造プロセスのCO2排出量を計測・把握するには、当然、高度な技術や知識が必要。中には、反応や蒸留、熱交換など製造プロセスで行われる処理に沿った複雑な計算式を表計算に投入し、担当者が人手で計算をしている場合もあるというが、工数がかかる上、当然、正確性には疑問がある。

 そこで有効活用したいのがプロセスシミュレータである。特定の技術者が使うツールという印象があるプロセスシミュレータだが、近年、使いやすさの面で大きな進化を遂げており、用途の範囲が広がっている。CO2削減施策の効果測定もその1つだ。以下では、その方法、具体的なツールなどを見ていこう。

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