仕様変更や保守にかかるスピード/コストが大きな課題に
携帯電話事業などを手掛ける大手通信事業者KDDI。同社が提供するコンシューマ向けの「auひかり電話」、法人向けの「KDDI 光ダイレクト」といった固定電話系サービスの仮想化基盤を担当しているのがコアネットワーク部 テレコム基盤開発グループである。同グループでは2016年から高信頼のプライベートクラウド基盤としてRed Hat® OpenStack® Platform(以下、RHOSP)を導入しているが、システムの仕様変更や保守にかかるスピードとコストが数年前から大きな課題となっていた。
「私たちが担当するシステムはRHOSPで構築したNFV(Network Functions Virtualization:汎用サーバーの仮想マシン上で通信設備が持つ機能を実装する方式)を中心に構成されています。従来は開発・運用・保守の多くを外部のSIerさんに依頼していましたが、日々の運用を通して我々自身もナレッジやスキルを蓄積し、徐々にSIの一部やバージョンアップなどを内製化できるようになってきました。ただ保守については依然としてSIerさん任せだったため、小規模の修正やデバイスドライバーなどに起因するトラブル対応だけでも、数ヶ月から年単位の期間と多大なコストが発生してしまうことに悩んでいました」と、KDDIの辻 広志氏は語る。

ある時はRHOSPに関連した不具合の説明が、途中で伝言ゲームになってしまい、製品提供元であるRed Hat側にうまく伝わっていないこともあったという。とはいえ、ミッションクリティカルなNFV領域に精通したSIerは少なく、改めて業者を選定し直すのも難しい。「ならば一気に内製化を進めた方がよいのではないか」と辻氏らが考えたのは自然な流れだったといえるだろう。
サービスダウンにつながる不具合の解消、新機能の迅速なリリースにはスピードとコストが何よりも大きな鍵となる。そこでKDDIは固定電話系サービスにおいてシステムの内製化を決断した。次ページ以降では、その具体的な取り組みを紹介したい。