イノベーション推進で最初につまずく情報収集・共有の問題
多くの製造業がイノベーションの取り組みを進めている。しかし、市場は目まぐるしく変化し、テクノロジーも日々進化している。こうした環境変化の中で、いち早くイノベーションを生み出すのは容易ではない。各企業がそれぞれの工夫を重ねているものの、イノベーションを創出する環境づくり、多角的な議論を通じてアイデアを形にする仕組みづくりの部分で足踏みしている企業も少なくないだろう。
では、どこから手をつけるべきだろうか。イノベーションを担う中核組織である、研究開発部門や新規事業開発部門などを念頭に具体的な課題を考えてみよう。そもそも新しいアイデアやイノベーションは、既存情報の掛け合わせから生まれる。業界の垣根を越えたディスラプション(破壊的創造)が起こっている現代では、他業界も含めた広い視野で情報を収集する必要がある。ここでは何よりも「情報」がカギとなる。
まず、研究者・開発者などのメンバーの時間的な余裕を生み出す必要がある。情報収集に多くの時間を取られてしまうと、外部関係者や周囲とのコミュニケーションは薄くなる。また、情報収集を1人で行っているとソースが狭くなりがちで、長い間に固定化してしまう可能性もある。メンバー間の情報格差に悩みを抱えているケースもあれば、部門内・部門間の情報共有に課題を感じている企業もあるだろう。
情報の収集・共有に関する課題を解決できれば、イノベーション実現に向けて大きな効果が期待できる。アイデアを思いめぐらせる時間の余裕を生み出し、チーム内外でのコミュニケーションを促すとともに、アイデア検討や議論をより充実させる。そんな取り組みが個々人とチーム全体のパワーアップにつながり、イノベーションを促進する。
こうした方向に向けて、着実に前進している企業の1社が沖電気工業(以下、OKI)である。次ページ以降では、イノベーションを促す環境整備を進める同社の事例を通じて、製造業のイノベーションの取り組みにおける情報収集・共有のあり方を考えてみたい。