女性向け下着などを企画・製造・販売するピーチ・ジョン。同社ではより的確なマーケティング分析を行うべく、膨大な販売データをAIに解析させる事業に取り組んでいる。その手始めとして進めているのが、最も難しい分析の1つとされる「新商品の需要予測」だ。試行錯誤を重ねながら、既存製品と新規開発製品の類似度を測るプログラムを作成。そこから新商品のニーズを類推する仕組みを形にした。今後は、在庫消費予測や顧客行動分析などに役立つヒントも手軽に得られるよう、社内AIポータルサイトを実現させていく計画だ。
「経験」と「勘」頼りのマーケティング分析から脱却へ
ランジェリーをはじめ、ルームウェア、ボディケアアイテム、生活雑貨などオリジナリティに溢れる商品群を提供するピーチ・ジョン。1994年の設立以降、「自分らしい輝き」を求める多くの女性に支持され続けている。
現在、「PEACH JOHN」をマスターブランドとして、創立時からの顧客層を主なターゲットとする「SALON by PEACH JOHN」、10 代後半から20 代前半の若い顧客層を主なターゲットとする「GiRLs by PEACH JOHN」のサブブランドも展開。直営ショップのピーチ・ジョン・ザ・ストアは、国内各地のほか中国と台湾にも出店されている。
最新のトレンドを商品企画にスピーディーに反映させ、求めやすい価格で製品化することをビジネスモデルとする同社にとって、的確なマーケティングを行うことは極めて重要だ。そのため、同社では従来から市場・顧客動向を積極的に分析してきた。具体的には、販売やマーケティング部門の担当者が各店舗の購買データや在庫データ、ECサイトの検索履歴などを基に、商品・店舗ごとの受注予測や在庫消費予測といった多角的な分析を行ってきたという。
しかし、そこには課題もあった。それは、担当者の「経験」や「勘」に大きく頼っていた点だ。

「IT化が進んだことで大量の販売データが蓄積されるようになりましたが、それを分析する方法は以前とほとんど変わっていません。近年は市場環境が劇的に変化しつつあり、四則演算で行う分析を重ねたところで、業績向上に結びつく新たな気付きを得ることは難しいのが実情です。そこでAIを活用すれば、それまで思いもつかなかった気付きを得るきっかけになるかもしれない。そんなことを漠然と思っていたのですが、常に目前の業務にかかりきりで、具体的な行動を起こすきっかけがつかめずにいました」と同社の石渡 晃介氏は語る。
同社の主要な販売ツールは、かつては紙のカタログだった。それがWebサイトに移行し、閲覧する手段もPCからスマートフォンに変化した。そうした消費者の購買行動の変容を機敏に察知し、商品を提供する側も柔軟に変革していくべきではないか――そう考えていたところ、デル・テクノロジーズと奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)による「中堅企業DXアクセラレーションプログラム」が行われることを知り、格好の機会だと思い参加を決めたという。