「SAP ERP 6.0」の保守期限切れが2027年に迫るなか、多くの企業が「SAP S/4HANA」への移行を図ろうとしている。ただし、SAP S/4HANAへの移行には相応のIT投資が必要とされ、その投資をどのように自社のベネフィットに結びつけるかが問われている。PwCコンサルティングとセールスフォース・ジャパンのキーパーソン4名が、ベネフィットを最大限に引き出す方策を示す。
SAP S/4HANAへの移行を「単なる移行」で終わらせないために
基幹業務システムとして使用してきた「SAP ERP 6.0」を「SAP S/4HANA」へと移行させるのは、ビジネスプロセスの再構築をはじめ、システムの構築・運用・保守に至るまで多くの作業と相応のコスト、そして期間を要する仕事だ。ゆえに、新たなビジネス要件を想定した機能の追加などは行わず、単純にSAP ERP 6.0で築いたシステムをSAP S/4HANAに移行させるだけで「SAP ERP 2027問題」を終わらせようとする企業は多い。
しかし、それでは現行業務の維持にはなるものの、それ以外のベネフィットは創出できず、SAP S/4HANAへの移行にかけたコストの見返りが小さなもので終わる可能性が高い。
では、SAP ERP 6.0からSAP S/4HANAへの移行を機に何をどうすれば、より大きなベネフィットを獲得できるのだろうか。
その答えを探るべく、次ページからは、企業のITトランスフォーメーションの支援で豊富な実績を持つPwCコンサルティング 執行役員の町田 彰宏氏とシニアマネージャーの田村 郷司氏、そしてさまざまなシステムやデータ、アプリケーションの統合を実現するインテグレーションのソリューション「MuleSoft」を提供しているセールスフォース・ジャパン 常務執行役員の小山 径氏と執行役員である藤田 周氏に話を聞く。