「作りたいものを作る」だけでは競争力を維持できない

 様々な業界で「モノ」から「コト」へのシフトが加速している。特に製造業ではその傾向が顕著だ。あらゆる製品が市場に溢れ、コモディティ化する中、単に「作りたいものを作る」だけでは競争力を維持できなくなっている。高品質なモノ=製品を作れば顧客に受け入れられた時代は過ぎ去ったといえるだろう。

 顧客の期待に応えるサービスの提供や、困りごとを解決する=コトへのシフトに不可欠なのがデジタルテクノロジーだ。製品の販売後も、その使われ方や機器の動作状況などのデータを収集し、顧客が求めるサービスを継続的に提供する。同時に、入手したデータを詳しく分析することで、新たなニーズや潜在的な課題も可視化できる。デジタルテクノロジーによるケイパビリティを獲得することで、メーカーは新たな価値を提供できるようになる。

 このような状況をいち早く認識し、変革への取り組みを推進しているのがカーナビゲーションなど車載機器大手のパイオニアである。

岩田 和宏氏
岩田 和宏氏
パイオニア株式会社 常務執行役員 CTO Cross Technology Center センター長

 「創業以来培ってきたモノづくり力を礎に、モノ×コトへのトランスフォーメーションを加速させています」と語るのは、同社CTOの岩田 和宏氏だ。2021年3月のCTO着任以来、様々なテクノロジーを掛け合わせた新たな価値創出を推進している。

 その取り組みで注目すべきは、単にテクノロジーを導入するだけでなく、社員の意識改革や企業文化の刷新にも力を入れている点である。アマゾン ウェブ サービス(AWS)とのパートナーシップのもと、サービス開発の強化に向けた組織体制の見直し、社員のマインドセット醸成を含めた取り組みを進めている。

 同社が目指すのは「モビリティデータを活用したソリューション企業」だ。AWSと共にどのような取り組みを展開し、何を実現したのか。次ページで詳しく紹介する。

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