ERPでカバーし切れない業務をどう進めるか

 老朽化したシステムが抱えるリスクへの認識の高まり、DXの必要性などを背景に、基幹システムを刷新する動きが出てきている。その焦点の1つがERPだ。例えば、大企業を中心に日本で約2000社が導入しているといわれるSAPのERPについては、多くの企業で再構築プロジェクトが走っている。現在検討を進めている企業も少なくないはずだ。

 ERPの導入に際して、日本企業では、従来の固有業務に合わせて、多数のアドオン開発を行うのが一般的だった。洋服でいえば、テーラーメイドのアプローチだ。高コストで、時間のかかるやり方である。その反省もあって最近は“Fit to Standard”、つまり固有業務をERPの標準プロセスに合わせ、できる限りアドオンを最小化する企業が増えている。

 また、コアとなるERPの周辺に、最適なソリューションを配してシステム全体を構成する企業も多い。特定分野で強みを持つソリューションを組み合わせる手法は“Best of Breed”と呼ばれる。

 Fit to StandardとBest of Breedは、いずれもアドオン開発の最小化やプロジェクトの短期化に資するアプローチといえる。

 既存のSAPを最新のSAP S/4HANAにリプレースする場合でも、こうしたアプローチが採用される場合が多い。ただ、既存システムの再構築に当たって注意すべきポイントがある。既存システムが内包するムリ・ムダを、そのまま新システムに引き継いでしまうケースが少なくないのである。「世界標準に合わせるのが最適」とはいいがたい分野もある。制度面などで国や地域による違いが大きい固定資産管理は、その代表的な分野である。

 次ページでは、固定資産管理の特殊性、特殊性がもたらす経理業務上の課題、さらには課題解決へのアプローチなどを説明したい。

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