日本の企業・組織におけるAI活用は「危機的状況」

「生成AI」はビジネスや社会のありようを根底から覆すインパクトをもたらした。ただ、残念ながら日本企業のAI活用は世界に大きく後れを取っているといわれる。この状況を打破し、AI先進国になるための筋道とは。自ら次世代AIの開発にかかわる電気通信大学副学長の坂本 真樹氏と、日経BP総合研究所 イノベーションICTラボ所長 大和田 尚孝が語り合った。

大和田 尚孝
大和田 尚孝
日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ所長

大和田 2023年は世界中で「生成AI」の爆発的ブームが起こりました。ただ、日本企業にとってはあまり楽観視もできません。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX白書 2023」によれば、2022年度時点でAIを全社または一部で導入している企業は2割程度。米国は、同じ時点で4割に達していました。この傾向が直近でも続いているとすれば、少なくとも米国には大きく後れを取っていることになるでしょう。

 AIの導入目的に関しても興味深い結果が出ています(図1)。米国が主に新製品・サービスの創出に活用しているのに対し、日本は品質向上、ヒューマンエラーの低減・撲滅が主。つまり既存業務の改善にとどまっています。

図1●AIの導入目的
図1●AIの導入目的
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米国が新たな価値の創出に向けてAIを活用しているのに対し、日本は品質向上、ヒューマンエラーの低減・撲滅など、既存業務の改善を主な目的としている
坂本 真樹 氏
坂本 真樹 氏
電気通信大学 副学長 電気通信大学大学院 教授 情報理工学研究科/人工知能先端研究センター

坂本 この結果は日米の違いを端的に示していますね。このままではどんどん米国と差が開いてしまいそうです。

 日本はものづくり大国だったころの成功体験からいまだ抜け出せておらず、それが変革への足かせになっているように思います。「ChatGPT」を少し使って「生産性を向上できました」で満足していてはいけません。新たな価値や“お金”を生み出すことに集中し、ぐんぐん前進している海外を見ていると、日本のAI活用は危機的な状況にあると感じます。

大和田 どうすればこの差を埋め、AIの力をビジネス競争力に変えていけると思いますか。

坂本 私は、ポイントは大きく2つあると考えています。それが「AI人材の育成」と「データ利活用」です。

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