研究者にも大きな衝撃を与えたChatGPT

ビジネスシーンで大きな注目を集めている「生成AI」。ただ、企業が生成AIを使いこなし、ビジネス価値につなげる上では課題もある。大規模言語モデル(LLM)というこれまでにない特質を備えたテクノロジーと向き合い、効果を引き出すためには何が必要なのか。自然言語処理の研究で知られる東京大学大学院の谷中 瞳氏、企業目線のAI活用をサポートする大西 可奈子氏が語り合った。

大西 2023年3月に、言語処理学会で「ChatGPTで自然言語処理は終わるのか?」と題した緊急パネルが開催されました。国内でもChatGPTのブームが起こり始めた頃でしたが、谷中先生はまさにそのパネルに登壇されていましたね。あれから約1年、自然言語処理研究はどのように変わりましたか。

谷中 あのパネルでは「終わる」派と「終わらない」派で議論する場面があり、私は「終わらない」派でした。その考えは今も変わりません。自然言語処理の研究分野はどんどん 広がっており、例えば、英語などの言語で事前学習されたモデルを日本語でさらに事前学習する「継続事前学習」というトピックのほか、異分野の技術との融合も進んでいます。いわば縦方向と横方向の両軸で進展がみられるフェーズだと思います。

 また、2024年3月に開かれた言語処理学会の年次大会では、LLMというキーワードを含むセッションが大きく増えていました。興味深いのは、アカデミックの分野からだけでなく、企業の発表が増えていたことです。

大西 それだけ、AIに対する関心が企業側でも高まってきているということですね。

谷中 そう思います。ただ期待の半面、活用に向けた課題も見えてきています。

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