製造業の競争力を奪う5つの要因──その正体とは
日本の主要産業であり、名目GDP総額の約2割を占めている製造業。今後も産業界全体をけん引する存在として期待されている一方で、大きく5つの課題に直面している。
1つ目は「人口減に伴う人材不足」だ。これは製造業に限った話ではないが、製造業では地方に工場を設置するケースが多いため、ほかの業界に比べて若年層を確保しにくい。2つ目は「国際情勢の変化などに伴うサプライチェーンの混乱」である。必要に応じて国境を越えた工場移設や、それに伴うサプライチェーンの再編成などを行う必要があるが、これを迅速に行えていない企業が多い。
3つ目が「規制の強化だ」。特に脱炭素やサイバーセキュリティに関する規制は、多くの製造企業にとって新たなハードルになっている。4つ目は「中国企業の台頭」だ。当初は家電製品から始まった中国企業の攻勢だが、現在では日本企業が得意としてきたほぼすべての領域で無視できない存在になっている。また、以前はコストを武器にしていたが、現在では品質やサポートのレベルも向上している。
このような様々な外部要因への対応で重要になるのがDXだ。しかし、日本の製造業はここでも問題を抱えている。経済産業省が2018年に「2025年の崖」を示してからかなりの時間が経過しているにもかかわらず、いまだにレガシーからの脱却が進んでいない企業も多い。これが5つ目の課題である。
劇的に変化する経営環境の中、DXの壁をどう乗り越えればよいのか──次のページでは、ミズーリ科学技術大学の府川 信幸博士へのインタビュー動画とPTCジャパン神谷社長へのインタビューを基に、日本の製造業の未来に向けた処方箋について考えてみたい。