重要情報を扱う企業にとって生成AIは“諸刃の剣”
生成AIの登場は世界に衝撃をもたらした。プロンプト次第で文書や画像の生成もお手のものだ。登場からわずか数年で強みを持つ多様な生成AIが登場し、企業側の選択肢はさらに広がりつつある。
その一方、課題も見えてきた。一般的な生成AIサービスは業界・業務固有の専門用語や商流には基本的に対応していない。精度の高いアウトプットを得るには独自のデータを使って学習させる必要があるが、機密情報など社外秘のデータを扱う場合は慎重な対応が必要になる。意図しない情報漏えいが発生したり、あるいは学習データが外部から不正に改ざん・汚染されたりするリスクがあるからだ。
こうした理由から、機密情報は社外のクラウドサービスで扱えない企業もある。金融や医療、製造業などはこうした社内ポリシーを設定している企業が多い。ほかの業種でも自社の強みを支えるノウハウやナレッジは機密情報にあたる。
そうなるとセキュアなオンプレミス環境での運用が前提となるが、生成AI基盤の構築・運用、モデル学習やファインチューニング、データセキュリティーには高度なスキルが求められる。そのためのコストが高額になるし、そもそも専門人材は慢性的に不足している。人材の育成や確保にも多くの時間とコストがかかってしまう。
こうした様々なハードルもあって、生成AIの活用が限定的で、既存業務の部分的な改善に留まっているケースが少なくない。その一方で、独自の生成AI基盤を実現し、ビジネスをブレークスルーさせている企業もある。人材不足やコスト、リスクの不安をどうやって克服したのか。そしてどんな成果を挙げているのか。次頁以降では、富士通が支援した事例/ユースケースを紐解きつつ、その秘訣を考えてみたい。