「犯罪収益移転防止法(犯収法)」の施行規則が改正され、本人確認のルールが大きく変わる。証明書の写しによる確認は原則廃止され、マイナンバーカード等のIC読み取りへの対応や、スマートフォンのマイナンバーカードへの対応が求められる。2027年4月の施行を控え、本人確認のフロー、マニュアル、IT基盤の見直しは急務だ。対応を先送りすれば、行政処分や犯罪関与リスクにつながりかねない。企業は何から着手すべきか。施行規則の改正のポイントと実務対応について、弁護士の白根 央氏に聞いた。

「犯罪収益移転防止法(以降、犯収法)」の施行規則が改正され、2027年4月から施行されます。施行規則の改正のポイントを教えてください。

白根 主なポイントは3つあります。1つ目は「非対面取引での本人確認手続きの見直し」です。オンライン取引では、これまで運転免許証などの本人確認書類をスマートフォンで撮影し、その画像を送信してもらう方法が一般的でした。しかし、改正後は書類の画像送信や写し(コピー)の送付による本人確認が原則廃止されます。

森・濱田松本法律事務所でパートナーを務める白根 央 氏。2010年、弁護士登録(第二東京弁護士会 所属)。2018年、金融庁監督局銀行第一課(課長補佐)に任期付公務員として赴任。2019年、金融庁監督局証券課(課長補佐)に異動、2021年まで勤務。三菱UFJ銀行によるウェルスナビとの資本業務提携および完全子会社化ほか、金融関係の案件実績を豊富に持つ。取扱分野は金融規制、紛争解決、コーポレート、インダストリー等。
森・濱田松本法律事務所でパートナーを務める白根 央 氏。2010年、弁護士登録(第二東京弁護士会 所属)。2018年、金融庁監督局銀行第一課(課長補佐)に任期付公務員として赴任。2019年、金融庁監督局証券課(課長補佐)に異動、2021年まで勤務。三菱UFJ銀行によるウェルスナビとの資本業務提携および完全子会社化ほか、金融関係の案件実績を豊富に持つ。取扱分野は金融規制、紛争解決、コーポレート、インダストリー等。

 2つ目は「対面取引における本人確認の厳格化」です。これまでは運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真付きの本人確認書類を提示すれば本人確認が可能でした。2027年4月以降は、ICチップに記録された本人確認情報の読み取りが義務付けられます。

 3つ目は「デジタル化への対応」です。スマートフォンのマイナンバーカードを用いる本人確認は2025年6月から先行して制度化されており、今回の見直しで制度全体がICチップ・スマホ搭載型を前提とした形に整理されます。

どのような業種が対象になりますか。

白根 金融機関・暗号資産交換業者、不動産会社、リース会社、クレジットカード会社、宝石・貴金属取扱事業者、郵便物受取サービス事業者、電話転送サービス事業者、弁護士や税理士を含む士業など、広範な業種が対象です。

対応できない企業には、どのようなリスクがありますか。

白根 行政処分の対象となる可能性があります。また、不適切な本人確認によってマネー・ロンダリングなどの犯罪に関与した場合、企業のレピュテーションが低下するリスクもあります。

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