「犯罪収益移転防止法(犯収法)」の施行規則が改正され、本人確認のルールが大きく変わる。証明書の写しによる確認は原則廃止され、マイナンバーカード等のIC読み取りへの対応や、スマートフォンのマイナンバーカードへの対応が求められる。2027年4月の施行を控え、本人確認のフロー、マニュアル、IT基盤の見直しは急務だ。対応を先送りすれば、行政処分や犯罪関与リスクにつながりかねない。企業は何から着手すべきか。施行規則の改正のポイントと実務対応について、弁護士の白根 央氏に聞いた。
「犯罪収益移転防止法(以降、犯収法)」の施行規則が改正され、2027年4月から施行されます。施行規則の改正のポイントを教えてください。
白根 主なポイントは3つあります。1つ目は「非対面取引での本人確認手続きの見直し」です。オンライン取引では、これまで運転免許証などの本人確認書類をスマートフォンで撮影し、その画像を送信してもらう方法が一般的でした。しかし、改正後は書類の画像送信や写し(コピー)の送付による本人確認が原則廃止されます。

2つ目は「対面取引における本人確認の厳格化」です。これまでは運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真付きの本人確認書類を提示すれば本人確認が可能でした。2027年4月以降は、ICチップに記録された本人確認情報の読み取りが義務付けられます。
3つ目は「デジタル化への対応」です。スマートフォンのマイナンバーカードを用いる本人確認は2025年6月から先行して制度化されており、今回の見直しで制度全体がICチップ・スマホ搭載型を前提とした形に整理されます。
どのような業種が対象になりますか。
白根 金融機関・暗号資産交換業者、不動産会社、リース会社、クレジットカード会社、宝石・貴金属取扱事業者、郵便物受取サービス事業者、電話転送サービス事業者、弁護士や税理士を含む士業など、広範な業種が対象です。
対応できない企業には、どのようなリスクがありますか。
白根 行政処分の対象となる可能性があります。また、不適切な本人確認によってマネー・ロンダリングなどの犯罪に関与した場合、企業のレピュテーションが低下するリスクもあります。