ライセンス契約の複雑化の中で孤立無援の運用担当者

 ライセンス契約が複雑になる中で、ソフトウエアベンダー主導の契約では億単位の無駄なコストが発生している場合が少なくない。ライセンス監査による使用許諾違反で、多額の支払いを求められることも多い。ベンダーをコントロールし、ライセンスコストを削減する方法を見ていこう。

 近年、複雑化するIT環境の中で、ソフトウエアベンダーは自社の製品すべてにライセンス契約を適用しようとしてきた。その結果、同じ製品でも「オンプレミス用」「オンプレの仮想用」「クラウド用」などと非常に分かりにくくなっている。その中で、ソフトウエアベンダーはサービスプロバイダーへの転換を進め、クラウドのシェア拡大を図っている。そのために、複雑化していてユーザー企業がコントロールできない状態を利用して、有利な契約を結び、シェアを拡大している。

一般社団法人日本ベンダーマネジメント協会<br>代表理事<br>武内烈 氏
一般社団法人日本ベンダーマネジメント協会
代表理事
武内烈 氏

 「人は誰でも、複雑化が極まると理解することをあきらめてしまうので、契約を読んでも、解釈の説明を受けてもよく理解できません。それでベンダーがライセンス監査を行って、使用許諾条件違反で例えば100億円支払えと言われるのです。反論できないので支払いを決めた後で、今度は経営から『億単位のライセンスコストの妥当性を説明せよ』と追及されるケースが出てきています」と日本ベンダーマネジメント協会代表理事の武内烈氏は語る。

 一方で、ソフトウエアを販売するITベンダーはたくさんの製品を扱っているので、ライセンス契約の使用許諾条件の詳細内容までは理解していない。ユーザー企業から注文を受けた製品をソフトウエアベンダーに発注する。「後は導入企業が使用許諾条件に合致していると判断するのであれば、大丈夫だろう」と思うだけだ。それは実際には「分からない」ということで、ユーザー側というよりも、ソフトウエアベンダー側に立っている場合がほとんどだ。

 こう見てくると、ユーザー企業の運用担当者にはどこにも味方がいないことが分かる。ソフトウエアベンダーはもとより、ITベンダーも信用できず、孤立無援の状態に陥っている。加えて、経営も管理はパートナーに任せ、ライセンス違反があったとしても、3年に1度費用を払えばよいと考えている場合が多い。ところがライセンス監査で100億円の支払いを求められた途端に突然、おかしいと言い出す。運用現場では、その根拠について誰も分からず、経営にも答えようがないので、ライセンス契約の担当者だけが苦しむことになる。

 これを解決するには、単純な話に聞こえるかもしれないが、ライセンス契約そのものを理解することであり、その要素は四つある。次ページでそれらを確認していこう。

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