激化する創薬のグローバル競争
求められるスピードアップ
世界的な規模で、創薬における研究開発競争は激化している。有望な化合物をいかに早く探索し、特許を取得するか。それは企業競争力に直結するテーマだ。スピードアップのためにCRO(Contract Research Organization)と呼ばれる開発業務受託機関、あるいは大学などの研究機関とのパートナシップを強化している製薬企業も増えている。
また、グローバル展開する大手製薬企業は、世界各地の拠点が連携してプロジェクトを遂行するケースも多い。その連携が円滑に行われるかどうかは、開発のスピードを左右する。

こうした中で、創薬に関連する業務においてコミュニケーションやコラボレーションへの関心が改めて注目されている。国内外の製薬企業に対して戦略コンサルティングなどのサービスを提供するとともに、最新の創薬支援ツールの知見も豊富なBIOSPIRE代表取締役の松永昌之氏は次のように語る。
「大企業になるほど、研究開発の中で分業が進んでいます。一般に、DMTAサイクルといわれますが、D(Design)とM(Make)、T(Test)、A(Analyze)の各担当者が別々に仕事をしていて、コミュニケーションが不十分という声をよく聞きます」
例えば、デザイン担当者が合成の結果を受けて、デザイン変更などを行うケースがよくある。その際、結果待ちのアイドリング時間が発生する。すぐに結果が分かれば、次のステップに進めるはずだ。DMTAサイクルの情報共有が円滑でなければ、アイドリング時間が長くなり、創薬プロセスに遅れが発生する。
「特に、メガファーマでは世界多拠点で連携して開発を行うことも多い。情報共有の重要性は一層高まっています」と松永氏は話す。
メガファーマだけの課題ではない。同じような課題は、社外とのやり取りでも目立つ。CROや創薬スタートアップなどの外部機関とセキュアに情報を共有し、スピーディーに開発プロセスを進める上でも情報共有はカギを握っている。こうした課題に対応するためのツールはこれまでも存在したが、最近は次世代のソリューションが登場し関係者の大きな注目を集めている。その詳細については、次頁で説明したい。