資料の紹介

 自動運転の実現に向け、先進運転支援システム(ADAS)の開発競争が激化している。ADASを実用化するには、十分な安全性を備えていることを実証する必要がある。それを実験で示そうとすれば、非現実的と言えるほど膨大な路上試験を要する。そこで、人工知能(AI)と機械学習を駆使したシミュレーションにより、仮想的に実現する仕組みの開発が進んでいる。

 あらゆる走行シナリオに安全に対処できるADASを開発することは、容易ではない。建物や電柱を含む構造物、車両、歩行者、動物などが目の前に表れたとき、それを瞬時に識別して対処する必要がある。しかも、天候や明るさ、路面状態などの条件が変わってもセンサーが正しく反応し、適切に対応できなければならない。想定されるシナリオは、無数にある。

 本特集では、ADASや自動運転車の開発に用いられているシミュレーションについて解説する。安全妥当性を確認するシミュレーションの位置づけと現状、備えるべき機能、要件、ソフトウエアの構造などについて述べる。米SAEインターナショナルの規格「J3016」が定義している「自動化の6つのレベル」を紹介し、確率論をベースにした機械学習が抱える課題についても言及。自動運転シミュレーションの全体像を把握できる。