2026年7月17日にオンラインで開催された「金融デジタル戦略会議 -FinTech Impact Tokyo 2026 Summer」に、Everpure(ピュア・ストレージ・ジャパン)代表執行役員社長の五十嵐光喜氏が登壇。「金融AI活用の本番化を支えるデータ基盤戦略 ― パイロットから本番への道」をテーマに、AI時代の金融機関に求められるデータ基盤の必須要件と、その実現に向けたアプローチを示した。

AIの活用に乗り出す企業は急速に増えている。だが、その多くはパイロットの段階で足踏みしているのが実情だ。Everpure が調査会社と合同で実施した調査によると、AIプロジェクトの95%が本番稼働に到達できていないという。
「本番稼働の手前で足踏みする要因は、AIモデルの性能でも、ましてやGPUの性能でもありません。データの準備ができていないことです」と、Everpure(ピュア・ストレージ・ジャパン) 代表執行役員社長の五十嵐 光喜氏は指摘する。
同調査はグローバルを対象としたものだが、内容を読み解くと、本番展開を阻む最大の障壁として多くの企業が「データ準備の不足」を挙げている。
データが整っていないことの弊害を象徴するのがAIによる誤った回答だ。AIが事実に基づかない内容をもっともらしく生成してしまう「ハルシネーション」のほか、社内データや外部データの検索を組み合わせて回答を作成する「RAG(検索拡張生成)」で誤答が生じるケースもある。例えば、参照するデータが古い、誤りや矛盾を含む、文脈が失われているといった要因で、正しい情報を取得できない場合だ。
金融機関のように正確性が厳しく問われる業務では、一度の誤答が顧客対応や規制対応に直結するため、許容されるものではない。AIの本番稼働を妨げる大きな課題となっている。
AIによる誤った回答を抑えるにはデータの整備が欠かせないが、その整備が追いついていない。結果として、データサイエンティストの時間の多くがデータ整備などのオペレーションに費やされてしまい、本来の分析業務に時間を割けないという問題も生じている。
