社員の生産性やモチベーションは本当に上がっているか

 日本企業で「働き方改革」が注目されるようになって久しい。しかし、その「本気度」については疑問符が付く。「働き方」改革という割には、「働く場所」だけがオフィスから自宅や外出先に「変更」されただけで、「働き方」そのものには手が付けられていないケースが目立つからだ。

 世論調査や人材コンサルティングを手掛ける米ギャラップが世界各国の企業を対象に実施した従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査によると、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかないことが分かった。米国の32%と比べて大幅に低く、調査した139カ国中132位と最下位クラスだった。

 企業内に諸問題を生む「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%に達しているのである。つまり、働き方自体に問題が残っているのである。

 毎日8時間働く中で、本来すべき仕事に費やせる時間はどれだけあるのだろうか。マッキンゼー・アンド・カンパニーのリポートによれば、多くの従業員は1日の4割ぐらいしか「本当の仕事」ができていないという。つまり、残りの6割は「その他の雑務」に時間を割かれていることになる。

 例えば、社内コミュニケーションはその1つ。毎朝メールの受信箱には、CCなども含めれば100から200もの未読メールがたまっているはずだ。その確認作業だけで午前中の時間がほぼ潰れてしまうケースも少なくないだろう。社内ではSNSやチャットなど、メール以外のコミュニケーションツールも増えている。アクションアイテムを決めるため、複数の情報や資料を確認する手間と時間がかかってしまうことになる。

 さらに管理者の立場なら、いま誰がどの作業をやっているのか、進捗はどうかなどを確認する作業も加わってくる。働き方改革で、自宅やサテライトオフィスなどにメンバーが分散していると、互いの顔や働きぶりをリアルに見渡せていた今までと比べ、いま誰の手が空いていて、誰に仕事を割り振ればよいのかも分かりづらくなる。期日までに仕事が終わらない場合なども、コミュニケーション不足から問題の顕在化が遅くなってしまう。そうなれば管理者はつい、Web会議などでウィークリーミーティングを始めたり、報告書や資料作成などを高い頻度で求めることになる。あるいは、あたかもオフィスで会話するように、チャットの画面の前に常にいることを前提にして、仕事が進められていく。結果として、「働く場所変更」で節約された時間や仕事の柔軟さでさえ、そういった「雑務」に費やすことになってしまうわけだ。

 これらはすべて、本当の意味での「頭を使う仕事」ではなく、「仕事のための仕事」にすぎない。非効率的な働き方から脱却し、本当の意味で一人ひとりの生産性やモチベーションを上げる「働き方」改革を進めるためには、どうすればよいのだろうか。

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