中小企業でも導入が進むHCI。その理由とは
クラウドや仮想化など、テクノロジーが進化する一方で、ITに関わる課題や運用負担は増える一方だ――。こう話すIT担当者は少なくない。特に人員や予算の限られている中小企業はその傾向が強いようだ。
様々な業務アプリケーションの管理負担はその代表例だ。会計ソフトや受発注管理、あるいは独自に構築した顧客管理系のアプリケーションやデータベースなど、それぞれの業務ごとにサーバーを構築したことで、その管理に追われている企業は少なくない。また、NAS(ネットワーク接続型ストレージ:Network Attached Storage)やネットワーク機器がいくつも散在し、そのメンテナンスに追われている担当者も多い。
IT運用の負荷軽減を目指してクラウド利用を考えたものの、顧客情報を社外に保管できなかったり、データの容量が大きくコストに見合わず断念したりする企業も目立つ。
こうした中小企業のITの悩みを解決する手段として注目を集めているのが、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)だ。
HCIとは、物理サーバーとストレージを1つの筐体(ノード)に統合し、仮想化ソフトウエアや管理ソフトウエアなどもパッケージングした形で提供されている製品のこと。このHCIを活用することで、様々なメリットが得られる。
例えば、業務アプリケーションごとに乱立したサーバーや、社内のストレージやネットワーク機器を1つに統合できる。これにより、運用が大幅に簡素化できる。また、サーバーの設置スペースの節約にもつながる点も、オフィススペースが限られた企業にとっては大きなポイントとなる。
拡張性も高い。既存システムに新規ノードを追加するだけで、簡単に性能を増強できるからだ。例えば、持ち出せない重要情報を社内に持ちつつ、システムの能力を必要に応じて強化するといった使い方も可能だ。つまり、クラウドのような使い方を社内システムで実現できるのである。
HCIといえば、以前は高価なイメージがあったが、最近ではかなり安価になってきており、中小企業でも導入が進んでいる。ここでは中小企業がHCIを導入するメリットや導入のポイント、具体的なステップについて紹介したい。
(取材・編集 日経BP総研 フェロー 桔梗原 富夫)