社会基盤DXの先駆け、ガス集中監視システム
IoTシステムを活用して、ガス・水道・電気などライフラインや道路・交通インフラなどの社会活動を支える社会基盤を、より厳格かつ効率的に管理・運営する動きが広がっている。
近未来の社会基盤を実現するには、日本中の様々な場所に分散配置されるエッジ端末から確実にデータを収集したり、逆に集中監視センターでの管理・制御を行き届かせたりするための、利便性と信頼性の高いネットワーク接続手段が欠かせない。こうした時代の要請に応える技術が、セルラーLPWA(Low Power Wide Area)である。
5Gがスマートフォンの高速・大容量通信を実現する潮流に対して、セルラーLPWAとは、LTEの通信インフラを活用して、広域での高信頼・低消費電力で安価な無線通信を可能にする、IoTに欠かせない技術だ。
ただし、「セルラーLPWA規格に準拠した標準仕様の通信モジュールを単純に購入し、エッジ機器に搭載しさえすれば、思い通りのライフラインや社会インフラの管理・制御が実現するわけではありません。キャリアやエッジ端末のメーカーと協力しながらの地道なモジュールの作り込みが欠かせません」と、セルラーLPWAのモジュールを開発・供給する太陽誘電 新事業推進室 課長で、スマートメーター向け通信技術の標準化を進めるテレメータリング推進協議会 理事でもある椿原潤吾氏は話す。

解決困難な課題があるところでイノベーションは生まれる。日本でIoT化が最も早く高度に進んだのは、意外にもガス供給の分野だという。ガスは、素人がむやみに取り扱えない、ミッションクリティカルなライフラインだ。さらにLPガスの場合、ガス管が未整備の地域などでも使われることが多く、使用状況に応じた補充が必要になる。当然、その日本各地を横断する管理には手間とコストがかかり、IoTを活用した集中監視システムが構築されている。
「ガスの集中監視システムで、データの収集などに使われる無線技術には、高度な安全性を確保できる高い信頼性が必須です。こうした要求に応える無線技術として、セルラーLPWAが活用されています。厳しい要求に応えるガス供給向けの技術やノウハウは、他のライフラインや社会インフラ、さらには様々な広域IoTシステムにも適用することが可能です」(椿原氏)