現在日本では、国を挙げた「データヘルス改革」が進展している。これは、分散している医療、介護、個人の健康管理情報を連携させ、人工知能(AI)などによって解析を加えた上で、データドリブンなサービスを実現しようというものだ。今や総人口に占める65歳以上の人口(高齢化率)が28.4%(※)にも上る日本では、効率的な医療提供体制の整備は急務である。その上、データヘルス改革による医療ビッグデータ基盤などが整備されれば、医療・介護の提供だけでなく、予防推進による国民の健康維持・増進効果、さらには新たな創薬にも生かせると考えられている。

 そんな中、「データとICTの力で、持続可能なヘルスケアシステムを実現する」を企業ミッションに、医療ビッグデータのリーディングカンパニーとして活躍しているのがJMDCである。2002年1月の創業以来、健康保険組合や医療機関からデータを預かり、加入者の健康増進や疾病予防に活用可能なソリューションをフィードバック。また、データを匿名加工した上で、製薬企業や保険会社、アカデミアなどに提供し、研究・開発をサポートしてきた。同社の扱う契約健保数は274(2021年3月時点)。なんと全健保の3分の1に相当する930万人(約3万社)のレセプト(診療報酬明細書)や検診データなどを10数年にわたって管理している。まさにビッグデータと呼ぶことのできる価値ある資産だ。

 2021年7月には、自社の医療ビッグデータに機械学習を用いて、新型コロナウイルス感染時の重症化のリスクファクターの解析を行ったという。その結果、「肥満」は1.8倍、「喫煙」は1.6倍、「糖尿病」は3.4倍、「高血圧」は1.6倍、重症化のリスクを高めることを突き止め、大きな注目を集めた。

 さらに同社では、システムのクラウド化にも着手。取り扱うデータのうち、医療機関データベースをオンプレミスからクラウドへ移行しただけでなく、構造化・非構造化を問わず大量のデータを湖のように貯めることができる「データレイク」を構築した。機微なデータの最たるものである医療データを扱いながら、クラウドでデータレイク構築に踏み切った理由、そして成功のポイントを次ページ以降、JMDCの2人のキーパーソンに聞いた。

※内閣府:令和2年版高齢社会白書より
新型コロナウイルス感染時の重症化のリスクファクターの解析結果
[画像のクリックで拡大表示]
新型コロナウイルス感染時の重症化のリスクファクターの解析結果

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。