日本を代表する大手企業であるNEC(日本電気)。同社は顧客向けDXの取り組みを強化すべく、NECの社内DXとして自社のITシステムを全面的にモダナイゼーションすることで、最先端の経験や知見を集約している。その一環として導入したのが、シーメンスが提供するローコードプラットフォーム「Mendix」(メンディックス)だ。導入の目的や、NECが目指すビジョンについて詳しく聞いた。

NEC
DX戦略統括オフィス
上席プロフェッショナル 兼 ディレクター
約12万人の従業員を擁し、3兆円近い売上高を誇るNECが、社内のDXを加速させている。CEO直下に「Transformation Office」と呼ぶ組織を新設し、「制度」「プロセス・組織」「IT」、および「データ・人」の三位一体 + Oneを対象におよそ150のプロジェクトを立ち上げて改革を推進中だ。
DXの主眼の一つが800近いITシステムの全面的な「モダナイゼーション(近代化)」である。社内DXのデジタル・アーキテクチャーを統括する同社DX戦略統括オフィス 上席プロフェッショナル 兼 ディレクターの関徳昭氏は次のように述べる。「サイロ化などの従来の課題を排除し、経営や市場の変化に即応できる次世代のデジタル基盤の実現を目指し、2025年までの6カ年計画で構築と移行を進めています」。
アーキテクチャーの基本方針としては、グローバル・スタンダードなソリューションを中核に据える、クラウド・ネイティブとしSaaSやPaaSを優先的に採用する、作り込みを最小化して標準機能の活用を徹底する、いわゆるFit to Standardなどが掲げられた。基幹システムであるSAP S/4HANAのクラウド・リフトを経て、Re-purchase(切り替え)、Re-architecture(再構築)、Re-platform(クラウド化)、Re-host(同)といった手段を通じて全システムのモダナイゼーションを実施し、総システム数の30%削減とTCOの13%削減を目指している。
このうち、Fit to Standardを推進するに当たって、NECが採用したのが、アプリケーションの開発やデプロイをクラウド上で実現するaPaaS(Application Platform as a Service)である。「SaaSの標準機能を補完・拡張するとともに、新しいアプリケーションをアジャイル的に立ち上げることを狙って、生産性の高いローコード開発プラットフォームであるaPaaSを導入することにしました」と関氏は説明する。
そして、数あるローコード開発プラットフォームの中から同社が選定したのが、シーメンスが提供する「Mendix」である。