フィジカルAIは「物理デバイス」だけではない

 急速に注目を集めているフィジカルAI。2026年1月に米国で開催されたテクノロジー展示会「CES 2026」でロボットとAIの掛け合わせがクローズアップされ、このトレンドの加速を後押しした。人型ロボットや自動運転車、ドローンなど、物理世界で動作するAIデバイスが、机上の空論から社会実装へとその活用フェーズを進めつつある。

松下 享平 氏
松下 享平 氏
株式会社ソラコム シニア テクノロジー・エバンジェリスト

 「フィジカルAIの概念実証(PoC)に着手する企業も増えていると感じます。ただ、その際に注意すべきなのが、フィジカルAIの本質を見誤らないようにすることだと当社は考えています」。そう話すのはソラコムの松下 享平氏だ。

 ロボットやドローンを導入すればフィジカルAIが完成するわけではない。物理的に目に見えるデバイスは分かりやすいため、それが「=フィジカルAI」だと勘違いされやすいが、その稼働には「インフラ」や「データ」が不可欠だ。全体設計を考えなければ、フィジカルAIの真の価値は得られないのである。

 「現在の状況はソラコムがIoT通信プラットフォーム『SORACOM』を提供開始した2015年ごろのIoTを取り巻く状況と似ています。当時はIoTという言葉が出始めたころで、『スマートスピーカー』や『接客ロボット』などの物理デバイスをIoTと紹介されることが多かったと記憶しています。しかし、IoTの本質は『人手を介さず現実世界をデータ化して、企業や製品価値の向上につなげる手段』であり、これを意識しなければ真の価値は得られません。当社はこのことを繰り返しお客様にお伝えしてきました」と松下氏は振り返る。

 そこでソラコムは当時の経験を踏まえて、フィジカルAIがロボットや自動運転だけでなく広範囲に活用できることと、フィジカルAIの社会実装に向けた勘所を市場に提唱している。

 IoTのノウハウを持つ同社だからこそ見えた要件と、その実装に向けた「4つの要素」とは。次ページで紹介する。

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