“つながり”が製品開発に変化をもたらす

 Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった「VUCA」の時代と称される現代社会。先行きを見通せない混沌とした世の中で、製品開発の現場は今どのような課題に直面しており、それを解決するにはどうしたらいいのか。慶應義塾大学大学院教授の白坂成功氏と、日本IBMの後藤禎氏が対談した。

――まず、社会情勢の変化がものづくりの現場にどのような影響を与えているか、教えてください。

白坂:製造業にとって、以前は取引先や顧客など自社と直接つながっている相手だけを見ていればよかったのが、現在は顧客のさらにその先にいる顧客といった遠くの相手ともつながるようになり、変化の影響を受けやすくなっています。

 具体的には「オープンイノベーション」「共創」「コネクテッド」といったキーワードが、グローバル市場での生き残りや持続的成長のための必須条件となっており、インダストリー4.0やSociety5.0などによるバリューチェーンの“つながり”が、製品開発の在り方を変えています。

後藤:「つながる」ことでも製品開発は複雑になるという例ですね。つながるのは、他社や消費者とだけではありません。例えばレガシーシステムと最新のシステム、あるいはハードウエアとソフトウエア、違ったシステム同士など、様々なものがつながり影響を与え合っています。

白坂:他社製品がつながる分かりやすい例として、デジタルカメラとカラープリンターのつながりが挙げられます。デジタルカメラもカラープリンターも、それぞれ別の会社で開発され、単独で利用することができ、誰かが統合的にマネジメントしているわけでもありません。ところがこの2つの製品が組み合わさることで、撮影したものを印刷するというサービス(機能)を提供しています。

後藤:まったく違った専門分野で育ってきた技術者同士が連携し合って1つの製品を開発する場合、お互いの“言葉”が通じず、十分に意思疎通を図れないといった問題も起こっています。

白坂:そこで求められるのが、全体を「1つのシステム」として捉えた開発、いわゆる「システムズエンジニアリング」なのです。

――システムズエンジニアリング実践のポイントはありますか。

慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 教授 白坂 成功 氏(左)
日本アイ・ビー・エム株式会社 GBS/IOT コグニティブ・R&Dソリューション 部長・アソシエイトパートナー コンサルタント 後藤 禎 氏(右)

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