生成AI時代といわれる中、法人向けAI PCが注目されている。この記事では、ビジネスシーンにAI PCを導入するメリットや、モデル選びのポイントを解説。さらに、法人向けPCとして多くの支持を受けるデル・テクノロジーズのPCについても紹介する。
急成長する法人向けAI PC市場
Windows 10のサポート終了に伴い、次に導入するPC選定に悩むIT担当者は多い。ここで有力な選択肢となりつつあるのが、AI PCである。
AI PCとは、AI処理に特化したNPU(Neural Processing Unit)を搭載し、ローカル環境でAI処理を高速かつ省電力で実行できるPCを指す。詳細は以下の関連記事を参照してほしい。
法人向けのAI PC市場は国内外で急成長しており、今後、多くのビジネス現場でAI PC導入が標準となると見込まれている。
法人での生成AI活用が拡大している
なぜAI PC市場が急成長しているのか。その背景には、生成AI活用の急速な拡大がある。
総務省の「令和7年版 情報通信白書」によれば、米国やドイツ、中国では9割以上の企業が生成AIを業務で活用している。
また同白書によると、日本の企業も生成AIの活用が「業務効率化や人員不足の解消につながる」「ビジネスの拡大や新たな顧客獲得につながる」「斬新なアイデア/新たなイノベーションがうまれる」といったポジティブな影響をもたらすと考えている声が多い。
出遅れが目立つ日本の生成AI活用
だが、生成AI活用において日本は出遅れている状況だ。日経BPが2025年7月に実施した調査では、日本企業における生成AIツールの導入率は64.4%だった。
なぜこのような事態となっているのだろうか。
「活用方法がわからない」が最大の懸念
「令和7年版 情報通信白書」の「生成AI導入に際しての懸念事項」調査では、日本企業の回答として「効果的な活用方法がわからない」が30.1%でトップとなった。これは「社内情報の漏洩などのセキュリティーリスクがある(27.6%)」「ランニングコストが掛かる(24.9%)」を上回る結果である。
なお、「効果的な活用方法がわからない」という懸念は、米国では9.7%、中国では10.4%にとどまり、日本と大きな差が生じている。
AI PCがAI利用のハードルを下げる
新しい技術の導入に躊躇するのは、いつの時代でも同様だ。しかし生成AIのように、急速に進化する技術を前に手をこまねいていれば、短期間で競合他社とのAI活用格差が生じてしまう。
「活用方法がわからない」を乗り越えるには、まず日常的なAI利用へのハードルを下げることが最短ルートだ。AI PCの活用は、このような環境をつくり出すための有効な手段となる。
ビジネスにAI PCを導入するメリット
ビジネスへのAI PC導入は、生成AI活用の第一歩となる。PCを日常的に使っているユーザーにとって、「生産性のボトルネック」となっていた様々な作業を、一気に効率化できるからだ。
調べ物を高速化できる
AI PCの導入により効率的になる作業例として、「調べ物」が挙げられる。
Windowsには標準で「Copilot in Windows」というデスクトップアプリが搭載されている。このアプリを活用すると、PCの操作方法に関する質問や、ウェブ上の情報検索、文章の要約・翻訳などを、自然言語を使ったチャットで行えるのだ。デスクトップの片隅に画面を常駐させておけば、知りたいことをすぐに調べられる。
AI PCであれば、キーボードのCopilotキーを押すだけで、簡単にCopilot in Windowsを起動できるのだ。
ファイル検索を高速化できる
日々のファイル検索も、AI PCにより効率がアップする。
PCを日常的に使っていると「あのファイルはどこにあったっけ?」と、過去に作成したファイルを探すことが少なくない。そんなとき、マイクロソフトが定めるAI PCの上位仕様「Copilot+ PC」に対応した機種で利用できる、Copilot in Windowsの「Windows検索」機能を使えば、「言葉の意味」を考慮した検索(セマンティック検索)が可能だ。
例えば、ファイル名を正確に覚えていなくても「◯◯の職務経歴書を探して」「◯◯が写った写真を探して」といった自然言語でファイルを検索できるのだ。思いついた言葉ですぐにファイルを見つけ出せるため、ファイル探しに費やす時間を大幅に削減できる。
資料作成を高速化・高品質化できる
AI PCは、様々な資料作成のスピードも高速化できる。
Copilot in Windowsは文書作成にも利用可能だ。提案資料などに盛り込む文言を生成してもらい、必要に応じて調整すれば、資料作成を短時間で完了できる。
さらに、同じく「Copilot+ PC」に対応した機種であれば、「コクリエーター」機能も利用可能だ。これは、Windows標準搭載の「ペイント」に組み込まれたAI機能で、簡単なラフスケッチとテキストプロンプトから高品質な画像を生成できる。資料のビジュアル要素を短時間で作成できるのだ。
クラウドAIとの併用でさらに強力に
AI PCのメリットは、PC内での生成AI活用だけではない。クラウド上の生成AIサービスも併用することで、さらに強力なツールになる。
AI PCのローカルでの生成AI活用は、クラウドとの通信が不要なため、レスポンスが極めて高速だ。そこで、まずはAI PC内でできる処理を行い、より高度な処理や大規模なデータ分析が必要な場合はクラウドAIサービスに依頼する。このような「ハイブリッド型」の使い分けが可能なことも、AI PCの大きな魅力だ。
法人向けAI PC選びのポイント
実際に法人がAI PCを選ぶ際には、どのようなことに着目すべきなのか。ここでは5つのチェックポイントを紹介する。
1.おすすめは「Copilot+ PC」
ビジネスシーンで使用するAI PCを選択するなら、「Copilot+ PC」を推奨する。これはマイクロソフトが定義する高スペック要件を満たした、AI PCの上位モデルだ。
- マイクロソフトが定める高いスペックを満たしており、標準化・運用管理が容易。
- AI PCとしての性能が高く、業務にAIを安心して取り入れられる。
- 生産性・創造性を支援する高度なAIツールを利用できる。
2.軽さ・堅牢さをチェックする
働き方改革やフリーアドレス化により、PCを持ち歩くことが一般的になった。ここで重要になるのが、軽さと堅牢性だ。
軽さは持ち運び時の負担を軽減する。またPCの持ち歩きには落下や衝撃のリスクがあるため、高い堅牢性と、衝撃に強い設計が求められる。
3.インターフェースと操作性
ビジネスで使用するAI PCにおいて、インターフェースの適切さと操作性の良さは重要な要素である。
最近は「USB Type-Cさえ備わっていれば、ほとんどの用途に対応できる」という機運が高まっている。USB Type-Cには、充電に対応するもの、映像出力に対応するもの、データ転送に対応するもの、これらをすべて網羅するものなど、仕様が多様であるため、用途に合った規格かどうかを事前に確認したい。
また、USB Type-AやHDMIなど、必要に応じて他の端子の有無や、ドック・アダプタで拡張できるかも検討材料となる。
加えて、キーボードのストロークやタッチパッドの操作性も、長時間の業務における作業効率に直結するため確認しておきたい。
4.高度なセキュリティー機能の搭載
法人で使用するAI PCを選ぶ上で、セキュリティー機能は重要だ。
ランサムウエア検出やメモリスキャンなど、多層防御を実装しているかを確認したい。BIOSレベルでの保護機能や、ハードウエアベースの暗号化機能を備えたモデル、メーカー独自のセキュリティーソリューションを搭載したモデルなら、より安全性が高い。
5.管理のしやすさも重要
企業が導入するAI PCにおいては、管理のしやすさも重要なポイントである。
クラウド連携による一元管理が可能であれば、IT部門の負担を大幅に軽減できる。複数拠点の端末監視や、ソフトウエアの一括配信、セキュリティーポリシーの統一管理などが効率化できるのだ。
また、バッテリー寿命予測や故障予兆検知などの予防保守機能を備えたモデルもある。導入計画から運用までのライフサイクル全体を支援するLCM(Life Cycle Management)サービスを提供するベンダーを選べば、長期的な運用も安心だ。
ビジネスシーンで支持されるデルのAI PC
ビジネスシーンで使用されるPCとして、高い評価を受けているベンダーの1つがデル・テクノロジーズ(以下デル)だ。同社のAI PCは、前述の「5つのチェックポイント」を満たすことはもちろん、以下のような特長も備えている。
わかりやすいラインアップ
デルのAI PCは、「Dell」「Dell Pro」「Dell Pro Max」の3シリーズで構成され、それぞれに基本モデルとなる「無印(Base)」、拡張性重視の「Plus」、超軽量の「Premium」をラインアップしている。
例えば「営業部門には軽量なPremiumモデル」「開発部門には拡張性の高いPlusモデル」といった、業務特性や利用シーンに合わせた柔軟な機種選択が可能だ。
充実した法人向けサポート
デルは企業のPC運用を包括的に支援する体制を整えている。導入前の計画段階から、運用・保守に加え、一般的なLCMサービスでは対応が分かれがちな廃棄・リサイクルのフェーズまで、ライフサイクル全体を一貫してカバーするサービスを提供しているのだ。
法人向けAI PCが必須となる時代が到来する
日常的な作業を効率化する上で、AI PCは重要なカギとなる。これにより従業員の生産性は向上し、深刻化する人手不足の状況下でも、より多くの業務を遂行できる。また創造的な活動に時間を割けるようになることで、新たな付加価値の創出や、新規事業の立案なども加速するはずだ。
AI PCの導入は、単なるハードウエアの更新ではない。生成AI時代において競争力を維持・強化するための、戦略的な投資といえるのだ。
よくある質問
日本企業のAIツール導入率は?
日経BPの2025年7月調査では、日本企業の生成AIツール導入率は64.4%。一方、米国やドイツ、中国では9割以上の企業が導入しており、日本は出遅れている。
法人向けAI PCを導入するメリットは?
AI PCの活用により、以下のような作業効率化が可能となる。
- 「Copilot in Windows」による調べ物の高速化
- 「Windows検索」機能による自然言語でのファイル検索
- 「Copilot in Windows」や「コクリエーター」機能による資料作成の高速化・高品質化
法人向けAI PC選びのポイントは?
法人向けAI PCの選定時は、以下の5点を確認したい。
- 「Copilot+ PC」対応か
- 軽さと堅牢性を備えているか
- 多様な接続端子を備え、操作性は優れているか
- 多層防御など高度なセキュリティー機能を搭載しているか
- クラウド一元管理や、LCMサービスの提供はあるか






