法人向けPCを、どのようなタイミングで更新すべきなのか。これに悩んでいるIT担当者は、決して少なくないはずだ。国税庁は、PCについて減価償却の法定耐用年数を4年と定めており、税務上の処理と実際の運用サイクルをそろえておいたほうが分かりやすいこともあって、3~5年の利用期間を目安に考えることが多かった。しかし現在では、この考え方は必ずしも正しいとはいえない。では法人向けPCの寿命を、どのように考えるべきなのか。
この記事では、法人向けノートPCの寿命を決める4つの要素を解説。さらに、長く使い続けられる製品を選ぶための考え方や、最新製品の購入を容易にする月額課金モデルについて紹介する。
法人向けノートPCの寿命を決める4つの要素
まず前提として考えておくべきなのが、法人向けPCの使われ方や目的は、個人使用のPCとは大きく異なる点だ。そこで、法人向けPCの寿命を決める4つの観点を提示したい。
使用頻度と消耗スピード
法人向けのPCは、1日8~10時間、年間200日程度は使用されることになる。そのため、1日1〜2時間、週に2〜3回程度の使用が想定される個人向けPCと比較して、年間で積み上げて考えても利用時間が数倍長いため、筐体や内部の部品にかかる負荷や消耗スピードが速くなる。このことを考慮し、法人向けPCは個人向けPCに比べて、耐久性が高くなるように設計されている。個人向けPCを業務に使ってしまうと、想定よりも早く故障や不具合が発生する危険性があるので、注意が必要だ。
それでは法人向けPCはどの程度のサイクルで更新すべきなのか。ここで1つ注目しておきたいのが、PCの重要な部品の1つであるSSDの寿命である。SSDにユーザーデータが格納されている場合には、その故障が業務に大きな影響を及ぼす可能性が高いからだ。
SSDの寿命は使用頻度などにもよるが5年程度といわれている。逆に法人向けPCのように使用頻度が高い場合には、寿命が短くなる可能性もある。SSDの寿命は「書き換え回数」に依存しており、使用頻度が高いPCではこの回数が多くなる傾向があるからだ。法人向けPCの買い替えは、用途、使用頻度により計画的にリプレースの計画を立てるべきといえるだろう。
ソフトウエアのサポート終了
法人向けPCの寿命を決めるのは、ハードウエアの故障だけではない。使用しているOSやソフトウエアのサポート終了も、寿命を決める重要な要素となる。
例えば、一般に業務で使用されるPCにはWindowsが搭載されているが、Windowsにはあらかじめサポートのロードマップが定められており、いずれサポートが終了する。サポートが終了したOSは、原則として新たな脆弱性に対するセキュリティー更新プログラムが提供されなくなるため、セキュリティーの観点からは、次のバージョンへの移行が避けられない。
この際、新バージョンのWindowsのシステム要件を満たさない古いスペックのPCはアップグレードができず、業務用途としての継続利用が難しくなる。サポートが切れた古いWindowsをそのまま使い続ければ、セキュリティーパッチの配布が受けられないため、セキュリティー面で重大な問題が生じてしまうからだ。
セキュリティーが不十分なPCを業務で使用してしまうと、情報漏えいなどのインシデントが発生した場合に企業の責任はより重くなり、場合によっては賠償問題に発展する危険性もある。セキュリティーパッチの配布が受けられなくなった時点で、「そのPCの寿命は尽きた」と考えるべきだろう。
加速するテクノロジーの進化
現在のPCは、新しいテクノロジーへの移行が早い。そして新しいテクノロジーは、より高いスペックを求める傾向がある。購入したPCを3~5年間使おうと考えた場合でも、現在のようにテクノロジーの進化が著しい場合には、もっと短い期間で「処理が遅い」と感じるようになり、従業員の生産性を阻害する危険性がある。
投資効果
そもそもPCは従業員の生産性を高めるためのツールであり、それが業務の足を引っ張るようであれば、投資効果がマイナスだといわざるを得ない。通常、PCは4年で償却されるケースが多いが、前述のように「処理が遅い」と感じられるようでは、投資効果が悪化していることになる。本来求められている投資効果を得るには、「処理が遅い」と感じられる前にPCを更新すべきだろう。
一般的な償却年数より短い3年と、それより長い5年のそれぞれでPCを更新した場合の生産性やコストに関するメリット・デメリットを比較すると、以下の表のようにまとめられる。
| 観点 | 3年更新 | 5年更新 | ||
|---|---|---|---|---|
| メリット | デメリット | メリット | デメリット | |
| 待ち時間・処理速度などによる生産性への影響 | 新しい性能を維持しやすく、処理遅延による「見えない損失」を抑えやすい | 業務が軽い職種では、性能向上分が収益・工数削減に直結せず投資回収しづらい | 性能上の要件が低い業務なら、追加投資なしで長く回せて費用対効果が高い | 4~5年目は動作低下や不具合が増えやすく、待機時間やトラブル対応にかかる人的コストが増える |
| 故障・不具合による機会損失 | 故障率が上がる前に更新でき、業務停止の機会損失を抑制できる | 更新回数が増えるため、移行ミスや設定不備による短期的な停止が起こりうる | 更新作業が少ないため、移行に伴う停止や混乱が減る | 使用期間が長くなると故障が発生しやすくなるため、業務停止リスクが大きくなりやすい |
| IT部門の運用コスト | PCの世代をそろえやすく、標準化による運用の効率化が見込める | 廃棄・資産管理などの工数が増えやすい | 1回に更新する台数が3年更新よりも少なくなるため、廃棄・資産管理などの運用コストは低くなる | 様々な世代のPCが混在しやすいため個別対応が増え、ヘルプデスク工数が増えやすい |
| セキュリティ要件への対応 | OSやセキュリティ要件が変わった場合にも追随しやすく、性能不足やサポート終了による突発的な買い替えリスクを抑えられる | 更新しなくても良い端末まで更新し、投資が過剰になる可能性がある | セキュリティ要件の変更が少ない環境では、追加投資を抑えて効果を出しやすい | OSやセキュリティ要件の変化による計画外の更新が発生しやすくなる |
PC選択のポイントと新たな課金モデルの検討
以上の観点から、現在における法人向けPCの選択方法と、新たな調達方法(課金モデル)について提案したい。
最新スペックのPCを選択
最新スペックのPCであれば、次世代のソフトウエアにも対応できる可能性が高く、テクノロジーの進化にも対応しやすい。法人向けPCを調達する際には、古いモデルではなく、常に最新モデルを選択する方が良いだろう。
ただし最新スペックのPCでも、今後4~5年もの間、快適に使い続けられるとは限らない。例えば、今から4年前(2022年)に登場したインテルプロセッサは第13世代だが、これを2026年にも使い続けるのは、パフォーマンスの観点から必ずしも適切とはいえないからだ。
現在のWindows 11はAI機能が数多く搭載されており、これによってユーザーの生産性を飛躍的に高めることができる。しかしその処理を高速化できるNPUが搭載されたのは、2023年末に発表された「Core Ultra」シリーズから。さらに、マイクロソフトが「Copilot+ PC」で要求するスペックを満たすには、2024年に発表された「Core Ultra 200V」が必要になる。
つまり、Windowsで提供されているAI機能を快適に使うには、3年前のPCでも既に「古い」のである。
| 世代/シリーズ名 | 登場年 | 備考 |
|---|---|---|
| 第12世代(Alder Lake) | 2021年 | - |
| 第13世代(Raptor Lake) | 2022年 | - |
| 第14世代(Raptor Lake Refresh) | 2023年 | - |
| Core Ultra シリーズ1 | 2023年末 | NPU搭載 |
| Core Ultra シリーズ2 | 2024年 | Copilot+ PC対応(一部モデル) |
月額課金モデル(DaaS)の検討
このようにテクノロジーの進化が著しく、数年先の状況を見通すことすら難しい場合には、従来型のハードウエア購入方法が投資リスクにつながる危険性もある。そこで考えたいのが月額課金モデルだ。月額課金ならPC購入時の初期投資を抑えられるため、最新型PCへの更新が容易になる。
またPCの費用を電気代や水道代のように月々の経費(リース料など)として処理できるケースが多く、固定資産としての計上・減価償却する必要も抑えられる。キャッシュフローへの影響も最小化できるため、借入金を増やさずに対応できるというメリットもある。
| 比較する観点 | 購入調達 | 月額課金 |
|---|---|---|
| 初期投資 | 大きい | 小さい |
| キャッシュフロー(現金支出)への影響 | 大きい | 小さい |
| 固定資産としての経理処理 | 必要 | 不要 |
| 資金の借り入れ | 場合によっては必要 | 不要 |
| 最新PCへの更新 | 買い替えやそれに伴う設定導入の負担が発生 | 買い替え、設定導入の負担が軽減 |
法人向けノートPCとして魅力的なデル・テクノロジーズの製品群
以上のことを考慮した際に、有力な選択肢の1つとなるのが、デル・テクノロジーズの法人向けPCだ。前述したスペックをクリアしていることに加え、以下のようなサポート・サービスが用意されている点だ。
オンサイト保証やアクシデントへの対応
デル・テクノロジーズの場合、5年間までのオンサイト保証や、アクシデンタルダメージ(ユーザーが落として故障させた場合など)にも対応する保証など、きめ細かなサポートを提供している。
デルの月額課金サービス「Dell APEX PC as a Service」
法人向けにPCを月額課金(サブスクリプション)で提供するサービスとして、「Dell APEX PC as a Service(PCaaS)」を提供。契約期間は1~5年の中から、1年単位で選択可能だ。
デルのPC回収サービス「アセットリカバリーサービス」
他社のPCも含めて回収し、安全かつサステナブルなIT機器処分を支援する「アセットリカバリーサービス」を提供。ユーザー企業からデバイスを買い取り、データ消去規格「NIST SP 800-88 Revision 1」に準拠したデータ削除を行うことで、情報漏えいを最小限に抑えられる。また残存価値がある場合には、デル・テクノロジーズが再販を行い、ユーザー企業に返金。残存価値がない場合には、地域の規制ガイドラインに従い、適切なリサイクルを行う。
法人向けノートPCは生産性向上への投資だと意識して調達する
ここまで「寿命」という観点から、法人向けPCの選択や調達方法について紹介した。繰り返しになるが、法人向けPCで最も重要なのは、従業員の生産性向上への投資だという観点だ。このことを常に意識しながら、ぜひ最適なPC更新サイクルを確立していただきたい。
よくある質問
Q.法人向けノートPCの寿命は何年?
一般的には、SSDの寿命とされる5年程度が目安になるが、以下のような観点を考慮すると、それより短くなるケースも珍しくない。
- 使用頻度と消耗スピード
- ソフトウエアのサポート終了
- テクノロジーの進化
- 投資効果
Q.法人向けノートPCを選ぶポイントは?
法人では、次世代のソフトウエアにも対応できる可能性が高く、テクノロジーの進化にも対応しやすい最新スペックのPCを導入するのが良い。
Q.最新スペックの法人向けノートPCを購入しやすい方法は?
以下のようなメリットがあるため、月額課金モデルを利用すると良い。
- 初期投資を抑えられる
- キャッシュフローへの影響が小さい
- 固定資産としての経理処理が不要
- 資金の借り入れが不要
- 最新PCへの更新が容易