資料の紹介
米テスラ(Tesla)は、米国で人気のピックアップトラックの電気自動車(EV)として「サイバートラック」を市場投入した。数々の先端技術をいち早く導入し、自動車関連の技術者にとっては今後のEV開発において絶対に目を離せない存在である。日本への市場導入は未定なことから米国仕様車を分解調査して、レポートにまとめた。
最大の特徴は、ステアリングシャフトがなく、ステアリングの切れ角を電気信号で伝達し、操舵(そうだ)する「ステア・バイ・ワイヤ」を採用していること。後輪も±8.5度ほどステアリングと連動して操舵できるため、大きな車体にかかわらず普通車の感覚で運転できるようになっている。車体は、前後に「ギガキャスト」と呼ばれる大型アルミ鋳造品で構成されている。さらに車体を構成する部品の多くに鋳造品を採用しており、キャスト構造の車体といっても過言ではない。また、車体の下部は電池パックが構造部材として配置され、電池パックがフロアとして機能している。
電池パックは「4680」と呼ぶ円筒型セルを用いたリチウムイオン2次電池を採用し、電池セルはタブレス構造で、負極にドライ電極を採用している。また、車載充電器/DC-DCコンバーターを一体化したユニット「PCS」には、新たに外部給電が可能な「V2H」の機能を装備したにもかかわらず、「モデル3」よりも小型・薄型化が進んでおり、驚きに値する。
分解車両は四輪駆動車である。リア駆動ユニットは永久磁石式で、フロント駆動ユニットは誘導式を採用するものの、外観上の違いはなく、減速機やインバーターを含めて部品の共有化を図っている。インバーターは、驚異的に小型化されていたモデル3のインバーターよりも一回り小さくなっており、テスラの技術進化を垣間見られる。電装品としては、48V低電圧ネットワークを新たに構築し、電流値とハーネスの重量を大幅に低減させている。
電子制御ユニット(ECU)は中央集権化を進めた「ゾーン型」を進化させ、電子部品に合わせて48Vや12Vなど各電圧で作動する新たなアーキテクチャーを開発している。水冷式車載コンピューターは、自動運転支援システムの制御には自社開発のSoCを2つ搭載した基板を、マルチメディア系の制御にはAMDのSoCを搭載した基板をそれぞれ採用している。
本レポートには、これまでの自動車にはない新しい発想で技術導入を積極的に進めるテスラの設計思想や開発方針、技術動向を捉える上で欠かせない情報を多数掲載している。ぜひ活用してほしい。
-----『テスラ「サイバートラック」徹底分解 全体編』の内容
▼ステアリングシャフトを廃止したステア・バイ・ワイヤを徹底分析
ZF製のステア・バイ・ワイヤ対応の操舵システムを搭載。ステアリングシャフトを廃止できるフェールセーフを実現。ステアリングから操舵システムまでの構造を掲載。
▼前後にギガキャストを採用し、アルミ鋳造を多用した車体構造を解説
車体の前後に9000トン級のギガキャストを用いた大型アルミ鋳造部品を採用。多くの構造体を鋳造品で形成。その構造から材質まで徹底調査。
▼タブレス、ドライ電極を採用した円筒型セル「4680」を分解分析
大型の円筒型セル「4680」を採用し、モジュールレス化して電池パックを薄型化。電池パックは車体のフロアとして機能。電池パックの構造からタブレス構造とドライ電極を採用した電池セルの材料分析まで解説。
▼電解コンデンサーレス、プレーナートランスを採用したPCSを調査・分析
薄型・軽量化を図った車載充電器/DC-DCコンバーターを一体化したユニット「PCS」を搭載。アルミ電解コンデンサーレスで、プレーナートランスを採用するなど新たな電力変換回路を徹底分析。
▼小型・低背化が進むインバーターや共通化が進む永久磁石式/誘導式モーターを詳細調査
テスラ「モデル3」より小型化が進展したインバーター、前輪用の誘導モーターと後輪用の永久磁石式モーターの構造の多くを共通化。進化した駆動ユニットを徹底分解。
▼48V低電圧ネットワークとEthernetを多用するECUを分解調査
他社に先駆け48V低電圧ネットワークを導入するとともに、ECU間の情報伝送にEthernetを採用。高電圧化と統合化が進む各種ECUを徹底分解。
(※下部より全目次と抜粋版をダウンロードできます)






