クラウドサービスにトラブル、そのとき企業は
2019年8月23日、米アマゾン ウェブ サービスが提供するクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」の東京リージョンで大規模な障害が発生した。この障害のため、AWS 東京リージョンに配置されていた一部のサービスが利用できなくなった。実際に、モバイル決済サービス「PayPay」や、ユニクロのECサイトなど30社以上にシステムトラブルが発生。企業のビジネスや市民生活にまで影響が及んだのである。
具体的にはAWSのデータセンターで制御系の異常が起こり、冷却システムがうまく動作しなかったことからデータセンターの室温が上昇し、仮想マシンなどの電源停止などにつながったという。その結果、仮想マシンをサービスとして提供するAmazon EC2やストレージサービスのAmazon EBS、リレーショナルデータベースサービスのRDSなどの一部が使用不可になった。
AWSに限らず、マイクロソフトの「Azure」やグーグルの「Google Cloud Platform」(GCP)などでも国内外で障害が報告されている。「クラウドだから安心」と言い切ることはできないのが実情だ。
これは、クラウドサービスが危険だから利用するのを控えようといったことを示しているのではない。万全を期してサービスを提供しているクラウドサービスであってもトラブルはゼロにできず、利用しているうちには何らかのトラブルに遭遇するリスクを完全になくすことはできないことを意味している。
クラウドサービスに対しては、「クラウドベンダーが面倒を見てくれるから、落ちない」といった誤解があり、そうした誤解からトラブル対策への投資が十分になされていない現状も少なからずある。実際には、一口に「クラウドサービス」といっても複数の種類があり、種類によってクラウドベンダーと利用者の責任範囲の境界線が異なるのだ。要するに、「クラウドベンダーが面倒を見てくれない」条件によるクラウドの利用形態があり、「落ちない」状況を実現するには、利用者である企業などの側にトラブル対策が求められるのである。
落ちては困る、サービスを止められないというシステムについて、ユーザーはクラウドサービスの種類をどう見極めればいいのだろう。