資料の紹介

 大手シンクタンクが今春、日本国内の産業用ドローンの市場規模は、2025年には、19年度の約4.5倍の約6400億円に成長する見込みであることを発表した。今後、法規や保険制度など社会システムの整備が進むことで、既にドローンを活用している散布、空撮、測量に加え、点検、輸送などへの活用拡大が期待されている。いずれの分野も、屋外の危険を伴う重労働が多く、少子高齢社会で労働力不足が懸念される領域である。ドローン活用には、業務効率の向上や新サービスの提供だけでなく、労働者不足などの課題解決も視野に入っている。

 例えば神奈川県では、超高齢社会や人口減少などの社会的課題解決に向け、19年から、市町村や企業と連携した「ドローン前提社会」のモデル事業の募集を開始。千葉市の国家戦略特区では「ドローンによる宅配サービス 」の実証実験を実施するなど、ドローン活用を促す地方創生拠点整備交付金が追い風となり、地方自治体独自の取り組みも増えている。一方、国土交通省は、新技術情報のデータベース、新技術情報提供システム(NETIS)で、民間からテーマ設定型技術公募を行っているが、近年は道路や橋梁などインフラの維持・点検にドローン技術を活用するテーマ応募が増え研究が進んでいる。

 ドローン運航に活用可能な新たなサービスの提供もスタートした。ドローンを使う写真点群測量は、精度向上のために事前に評定点を設置する必要があったが、世界初のセンチメータ級測位衛星「みちびき」の測位補強サービスにより、危険な現場での評定点設置作業が不要になる。また、高精度測位情報活用で、より精緻な運航が可能になるため、安全性が求められる都市部でのドローン利活用の可能性も広がるはずだ。

 社会課題の解決や業務効率化はもちろん、新サービスの開発にもドローンの技術は有効だ。社会実装のための法整備や標準化への取り組みは進み、運航技術や安全性も日々進化している。その最前線を行くドローン関連企業の動向に注目したい。